フォト
2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

オススメ本

  • 田中芳樹: アルスラーン戦記
  • 小野不由美: 十二国記
  • 福井晴敏: 機動戦士ガンダムUC
  • 有川浩: 図書館戦争
  • 下口智裕・清水栄一: 鉄のラインバレル
  • 永野護: ファイブスター物語
  • 高田裕三: 3×3EYES
  • 水野良: ロードス島戦記
  • ツジトモ: GIANT KILLING
  • 田中芳樹: 銀河英雄伝説
  • 田中芳樹: 風よ、万里を翔けよ
  • 田中芳樹: 薬師寺涼子の怪奇事件簿
  • 川原礫: ソードアート・オンライン
  • 安彦良和: 機動戦士ガンダム THE ORIGIN

書籍・雑誌

2023年3月10日 (金)

ケーンの読書感想文「残照」

どうも、ケーンです。

今回は本当に久しぶりの読書感想文になります。取り上げるのはこちら。

 

Photo_20230310152301

「残照」(祥伝社、著者:田中芳樹)

 

前回の「白銀騎士団」に続き、田中芳樹作品。ジャンルは歴史小説です。

 

中国史上ただひとり、陸路で地中海に達した武将がいた。男の名は郭侃(かくかん)。祖父の代からモンゴルに仕え、攻城戦と砲術に長けた漢人だった。1253年モンゴル帝国は、イスラム世界の制服とさらなる領土拡大のため、「フラグの大西征」を開始。37歳の郭侃は、15万の蒙古軍部隊長として西方遠征の途についた。新兵器「回回砲」をひっさげ、瞬く間に各地を陥落させる。だがエジプトを前に、隻眼の猛将バイバルスが立ちはだかり…。(帯より)

 

中国の名将、郭侃(かくかん)の生涯を描いています。

郭侃の名は、氏がかつて著した「中国武将列伝」(中公文庫)にも記述があります。中国史上、陸路で最も西へ行った武将として紹介されており、イスラムの軍隊どころか、ヨーロッパの十字軍とも戦った、とされており、当時これを読んだ私は驚きました。しかも連戦連勝、敵から「神人」とまで呼ばれ畏れられる無敵ぶり。しかし残念ながら日本ではまったくの無名です。昔ほどではないですが、日本はまだまだ中国史と言えば三国志、という風潮がありますね。

以前から日本では無名の中国人武将を発掘しては、それを題材にした小説を発表してきた田中芳樹。その彼がついに郭侃を書いたか、と思うと、否が応でも期待は膨らみます。

そして読んだ結果、オススメ度は…。

 

★★★★☆になります。

 

いやあ、氏の壮大な歴史絵巻、堪能させていただきました。

ここでみなさんに間違えてほしくないのは、これは「歴史小説」であって「戦記物」ではないということ。血沸き肉躍る合戦シーンの連続を期待して読むと、拍子抜けして星4どころじゃなく落胆します。氏がやっているのは、日本では無名の武将・郭侃の活躍を描くと同時に、その視点を通じて背景の歴史を描くこと。もちろん郭侃は武将ですから戦闘シーンはありますし、そこは間違いなく面白い。ですがその他にも、郭侃とは直接関係のない人物のエピソードや歴史事実などが頻繁に語られています。そのあたりが戦記物とは違うところで、時に難解で退屈に感じる人もいるかも知れません。でも、そこが歴史好きにはたまらないところでもあるんですよねえ。

さて、では星1つ減点した理由は何か。

これはもう、歴史事実なので氏にはどうしようもないことなんですが、郭侃が仕えたモンゴル帝国の残虐さです。

降伏すれば助けるが、逆らえば皆殺し、がモンゴル軍の基本。だから抵抗の末に陥落した城は血の海になります。それはもう、相手が民間人だろうと、女子供であろうと関係なし。皆殺しにしたうえ、財宝を根こそぎ略奪し、最後には建物に火を放ちます。

もちろん郭侃が率いる漢人部隊はそんなことはしなかったし、モンゴル人武将の中にも良識ある者はいましたが、それはごく一部。だからどうしても郭侃に感情移入はできても、彼が属したモンゴル軍にはちょっと…という気分になっちゃうんですよね。もう史実なので、本当に仕方ないんですが。「大蒙古帝国の大西征」なんていうといかにも壮大ですが、侵略されるほうにしてみればたまったものではないですからね。

というわけで、まだ知らぬ名将・郭侃の活躍を楽しめて、かつモンゴル帝国の歴史にも詳しくなれる一石二鳥(?)な一冊。

歴史好きな方にはぜひ。

 

それではまた。

ケーンでした。

2022年4月23日 (土)

ケーンの読書感想文「白銀騎士団」

 どうも、ケーンです。

 読書感想文、今回はこちら。

Photo_20220423135701

 光文社「白銀騎士団」(著者:田中芳樹)

 

 帝国主義に覆われ、軍靴の響きが近づく1905年のロンドン。霧の垂れこめた街には夜ごと怪物が跋扈していた…。けれど、この街には暗鬱な空気に立ち向かう「白銀騎士団」がいる。腕利きの従者の中国人・李、インド人・ゴーシュ、負けん気の強いメイドのアイルランド人・アニー、そして若き准男爵にして団長のサー・ジョセフ。個性豊かな面々がロンドンの平和を守り、貧乏貴族から脱するため、はびこる悪と今日も戦う!(帯より)

 

 「銀河英雄伝説」や「アルスラーン戦記」有名な田中芳樹の新作です。まあ厳密には、2005年に発表した短編に書き下ろしを加えて一冊の本にしたもので、ストーリーとしては短編一本、中編一本というところです。

 ジャンルは冒険小説。

 田中芳樹は色んなジャンルの小説を書きます。SFからファンタジー、歴史もの、冒険もの、アクションなどなど。書いていないのは、ミステリーと恋愛ものくらいでしょうか。得意なのは歴史ものですね。歴史小説も書きますが、「銀河英雄伝説」だってSF世界を舞台にした歴史ものですし、「アルスラーン戦記」も一見ファンタジーですが実は架空歴史小説。「創竜伝」は超能力アクションと思わせておいて、実は中国の歴史・伝説が深く関わってくる。

 冒険小説といえば、デビュー作が冒険小説でしたが、これは記録的に売れなかったといいますw 私には面白かったですけどね。

 最近だと、「ビクトリア朝怪奇冒険譚三部作」があります。これも19世紀の英国を舞台にした冒険もので、面白かったです。

 田中芳樹の小説は、歴史ものが好きなこともあって、背景世界がしっかりしてるんですよね。そしてその中で、登場人物が生き生きと動く。キャラクター造形もうまいんですよ。真面目で正義感の強いヒーローとか、美人でおしとやかなヒロインとか、そういうステレオタイプなキャラクターはあんまり出てきません(アルスラーンとアンネローゼくらいかな?)。脇役にも何かしらの個性がある。たとえ敵であってもね。

 この小説の主人公もそう。騎士団長で准男爵という肩書だけ聞くと、堅くて真面目な人物の印象がありますが、サー・ジョセフはぜんぜん違います。本人は自分は英国紳士だと言いますが、ぜんぜんらしくない。まず、貴族なのに従者に頭が上がらない。もっと言えばメイドの少女(もちろん年下)にだって尻に敷かれています。お金にだらしないからいいオトナなのにお小遣い制だし(財布は従者が握っています)、女性に弱くてちょっと美人を見ると口説こうとする。

 でも、それを補って余りある美点があります。それは「物事を正しく見られること」(ただし女性を除く)。

 サー・ジョセフは英国貴族で母国に忠誠を誓っていますが、同時に母国がどんなに悪いことをしてきたか理解しています。英国はインドや南アフリカを植民地にしたし、中国にアヘンを密輸して巨額の利益を得、中国がこれに反発すると戦争をしかけました(アヘン戦争)。人種差別も平気でしていました(これは英国に限りませんが)。東洋人やアフリカ人は西洋人より下だと見下し、差別したり、奴隷にしたり、売ったり買ったり。それらを理解しながらも、母国に対する忠誠心は捨てられないでいる。心中複雑でしょうが、本人はいたってあっけらかんとしていて、従者の中国人・インド人コンビをぞんざいに扱ったりはしていません。こづかいが少ないと文句を言いながらも、「従者のくせに主人の言うことが聞けんのか」と頭ごなしに怒鳴って命令したりはしないのです。

 劇中で、サー・ジョセフは敵にこんな罵詈雑言を浴びせられています。

「何をえらそうに。イングランド人のくせして。全世界の嫌われ者! 阿片の密売人! 遺跡荒らしの墓泥棒! 味覚オンチ!」

 サー・ジョセフは何も言い返せませんでした。アヘン戦争は言うに及ばず、英国は世界各地の遺跡や墓(ピラミッドとかね)を荒らして宝物を持ち帰ったし(それらは今も大英博物館にあります)、英国の料理が、例えば当時のインドや中国に比べれば格段に不味かったのは事実でしたからね。

 そんな彼でも、やる時はやります。でもやっぱり、事件が終わると従者にたしなめられたり、メイドに叱られたりするわけですよ。

 このへんのさじ加減がうまいんですね。決してかっこよくはないんだけど、でもちゃんと主人公として立っている。ここはさすが田中芳樹だなあ、と思いました。

 では文句なしの★5なのかというと、残念ながらそうではありませんでした。

 新作発売の予告があった時は、すごく期待したんですよ。長年の田中芳樹ファンですから。

 舞台が1905年。20世紀初頭ですから、田中芳樹のこと、当然、歴史的要素も詰め込んだ冒険小説になる。予告を見る限り、キャラもみんなひとクセあって面白そうだ。彼らがどんな大冒険を繰り広げるんだろう? 田中芳樹お得意の毒舌漫才もあるのかな?

 長年続いてきたシリーズ(「アルスラーン戦記」や「創竜伝」)を完結させてしまった田中芳樹の、新たな代表作となるか?

 そしてもちろん、書店に入荷されてすぐにゲット。帰りのJRですぐに読み始めました。

 で、感想。

 うん、田中芳樹作品だったね。

 面白かったです。でも。

 田中芳樹らしいキャラクターが、田中芳樹らしい冒険をして、田中芳樹らしい敵と戦って退治した。

 そう思っちゃったわけです。予想を超えてはこなかったんですよ。

 まあ私は田中芳樹のキャラも台詞回しも好きですし、ストーリーテリングも好きです。最近巷に溢れてる、やたらタイトルの長いライトノベル(中には面白いものもありますよ、もちろん)に比べても遜色ない。

 まだ田中芳樹作品に触れたことのない方には、ぜひオススメしたい。

 田中芳樹が好きな人も楽しめるでしょう。ですが往年のファンが「唸る」かというと、そこまでではないように思うのです。

 今はまだ、ね。

 物語はさらに広がるかのような伏線を残しています。今回は舞台がロンドンのシティ・アドベンチャーでしたが、これがシリーズ化されて、やがては世界規模の大冒険へと進んでいくのか。そうなると「化ける」かも知れませんね。

 ってことで、今回は、

 オススメ度 ★★★★☆

としておきます。

 一読の価値あり。でも往年のファン目線からすると今後に期待!! ということで。

 それではまた。

 ケーンでした。

 

↓ポチッと↓

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

2022年4月 3日 (日)

ケーンの読書感想文「旅の理不尽」

 どうも、ケーンです。

 うつ病から回復し、眼鏡を新調して老眼問題も克服(?)した私。小さな文字を読むことが苦にならなくなったので、また好きな本を読み始めました。

 そこで、このコーナーでは、私が読んだ本について色々と綴りたいと思います。書評なんて高尚なものではないので(笑)、読書感想文です。

 本日取り上げるのは、こちら。

Photo_20220403134801

 ちくま文庫「旅の理不尽 アジア悶絶編」(著者:宮田珠己)

 

 真面目なサラリーマンだった著者が、有給休暇を使い果たして旅したアジア各地の脱力系エピソード満載の爆笑体験記。若き宮田青年は、数々の失態を繰り返しながら旅の醍醐味と人生のほろ苦さを学んでゆく。誰もが体験するような旅の日常を、誰も追随できない独特の感性と文体で綴る鮮烈な処女作! エッセイスト・タマキングの底力を感じる一冊。(裏表紙より)

 

 ジャンルはエッセイになるのかな? 小説ではないこの本を買ったきっかけは、書店のPOPでした。

「自費出版から口コミで面白さが伝わり、ついに出版社から刊行された本!! 旅好きな人にも、そうでない人にもオススメ!! 「笑い」保証します」

 確か、こんな内容だったと思います。文庫本で分厚くもないし、気楽に読むにはいいかも、と思って手に取ったのでした。保証してくれるなら、大いに笑ってやろうじゃないか、と。

 さて、私のような北海道民は、「旅」と「笑い」というと、あるTV番組を想起します。

01_20220403140301

 そう。

 ご存じ(?)、「水曜どうでしょう」です。

 今や全国にファン(藩士)を持つ北海道発のローカルバラエティにして、国民的俳優(?)となった大泉洋の出世作。大泉洋とその事務所の社長であるミスターこと鈴木貴之、そしてディレクターの藤村氏とカメラマンの嬉野氏の4人が繰り広げる珍道中。放送開始は1996年というから、もう20年以上前の番組ですが、未だに全国各地で再放送され、人気を博しています。

 この「どうでしょう体験」を刷り込まれている私のような人間の場合、「旅」と「笑い」と言われるとどうしても「水曜どうでしょう」と比較してしまい、自然、ハードルが上がってしまうんですね。

 そんな私が「旅の理不尽」を読んだ感想はというと…。

「うん、面白かった。でもなあ」

となるわけです。

 筆者は旅行先で、あれやこれやとおかしなエピソードにでくわします。それは大抵、その国の人の国民性だったり、文化や価値観の違いから来るもので、実際に自分がでくわしたら「おい、ちょっと待て」となります。その理不尽さに心の中でぼやきなから対処していく様が、軽妙な文章で面白おかしく描かれています。

 もしかしたら、一人外国の旅を経験した人は「あるある(笑)」と共感するかも知れないし、そうでない人もクスリと笑ってしまうでしょう。

 でも、なのです。

 筆者は大泉洋ほどひどい目には遭ってないんですよねえ。彼ほど取り乱したり、大声でぼやいたり、泣いたり叫んだりもしません。笑える話ではあるけれど、「どうでしょう」ほどではないなあ、と私などは思ってしまうのでした。

 それと、オチが弱い。

 まあエッセイなので仕方ないんですが、「笑い」を求めて読んでしまうと、「え、もう終わり?」というところでエピソードが終わってしまいます。もっと強烈なオチがあったら良かったのですが、そこまで求めるのは贅沢ってものでしょうかね。

 でもまあ、680円+税というお値段分は楽しめます。私は朝の通勤電車の中で読んだのですが、おかげで楽しい通勤時間でした。

 というわけで、

 

 オススメ度 ★★★☆☆

 

 としておきます。

 初回にしては辛いような気もしますが、まあこんなものでしょう(どこから目線だw)。

 それではまた。

 ケーンでした。

↓ポチッと↓

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

 

2019年9月13日 (金)

10~11月はお祭りだぁ~!! の巻

 タイトルのとおり。

 10~11月は本好きにとってお祭りです。

 まず10月9日、「創竜伝14」が発売になります。

14

 田中芳樹の傑作長編・創竜伝。その最新刊が16年ぶりに刊行です。

 なんとなく「創竜伝また読みたいなぁ」と思って第1巻から読み直して、今、第13巻に差し掛かったところ。まさかこのタイミングで新刊が出るとは思っていませんでした。「しばらく田中芳樹の情報ないなぁ、今何書いてるのかなぁ」と思っていましたが、まさか創竜伝だったとは!!

 そして10月12日、忘れちゃいけない小野不由美の十二国記、その18年ぶりの最新刊、「白銀の墟 玄の月(一)(二)」が発売になります。

3

 この本は、入手してすぐ読むわけにはいけません。復習のために、十二国記の過去作を読み直す必要があります。

 まず、「魔性の子」、それから「風の海 迷宮の岸」、そして「黄昏の岸 暁の天」。これらは新作と登場人物やストーリーが繋がっているため、ぜひとも新作の前に再読しておきたいところです。

 そして、これらを読み終わる頃には11月9日を迎え、「白銀の墟 玄の月(三)(四)」が店頭に並んでいるでしょう。

 ちょっと整理してみましょう。今、考えている読む順は、

① 創竜伝13←いまここ

② 魔性の子

③ 創竜伝14

④ 風の海 迷宮の岸

⑤ 黄昏の岸 暁の天

⑥ 白銀の墟 玄の月(一)

⑦ 白銀の墟 玄の月(二)

⑧ 白銀の墟 玄の月(三)

⑨ 白銀の墟 玄の月(四)

となります。

 今日から2か月半の間に、9冊もの本を読むことになりますね。しかも、その半分は新作。これを祭りと言わずに何と言いましょう。

 いやもう、これぜんぶ読むまで絶対生き延びる。いや、もっと生きなきゃならなくなりました。少なくとも田中芳樹は創竜伝の完結を諦めていないようです。ならば最後まで付き合うのがファンのつとめってものでしょう。

 十二国記の完結を見届けることが、当面の生きる目標。

 次の目標は、創竜伝の完結を見届けることになりそうです。

 

 

2019年4月19日 (金)

祝・発売日決定!! の巻

 いやぁ、とうとう来ましたよ。

 何がって? 十二国記ですよ、十二国記!!

 小野不由美先生の大河小説の最新刊の発売日がついに発表になったのです!!

 最新刊は驚きの全4巻。2019年10月と11月に2冊ずつ刊行とのこと!!

 いやぁ、楽しみですねぇ。

 今まで辛いことあったし、苦しいこともあった。たくさん悩んだし、死にたいと思ったことさえありました。でも、死ねない。十二国記の最新刊を読むまでは。少なくともそれまではがんばって生きていける。そう思えるだけの作品なんです、十二国記は。

 はい、

「十二国記って何?」

ってなってるアナタ。

 今なら新潮文庫から刊行されているので、書店へ行ってらっしゃい。

 全部で11冊ありますよ。長いですよ。

「どれから読めばいいのよ?」

ってなったアナタ。

 とりあえず「月の影 影の海」を読みなさい。

Photo Photo_1

 上巻は辛いです。主人公が可哀相すぎて読むのを止めたくなるかも知れません。でも挫けてはいけません。下巻の冒頭、ネズミが出てきます。そこから怒涛の展開が待っています。そのカタルシスは必ずやアナタの心を鷲掴みにすることでしょう。

 そうなればもう、アナタは十二国記の虜。他の本も読みたくてたまらなくなるはずです。

 次は、そうですね、「魔性の子」を読んで、「風の海 迷宮の岸」へとお進みなさい。後は刊行順に読んで行けばよろしい。帯には「エピソード〇」と番号がついているから、それを目安にするといいですね。

 いいですか、繰り返しますよ?

 「月の影 影の海」を、ネズミが出てくるまで読め!!

 以上!!

2017年12月18日 (月)

堂々完結、の巻

 12月15日といえば、世間は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の公開日ということで盛り上がっていましたが、僕の心は別の重大事で盛り上がっておりました。

 そう、「天涯無限 アルスラーン戦記16」の発売日だったのです。

 田中芳樹氏の長編小説「アルスラーン戦記」の最新刊にして最終巻。足かけ30年かけた物語がついに完結するとあって、この日が待ち遠しくてたまりませんでした。

 仕事終わり、駅前の書店の新書コーナーに積んであったそれをさっそく購入し、帰宅。

Img_0438

 表紙は勇ましいアルスラーン。彼を待っているのは明るい未来か、はたまた…? そして万感胸に迫る結末とは…?

 答えはページをめくった先にある。誘惑に思わず手が伸びますが、ここは自制します。仕事で疲れてる頭では集中して読めない。たっぷり睡眠をとって、万全の状態で読むべし──と決めてました。なのでこの日は読まずに就寝。あれやこれやと展開を想像しながら眠りにつきました。

 そして翌日。いよいよページを開きます。いざ、パルスへ!!

 …。

 ……。

 ………。

 ──完──

「…終わった…」

 ほぼ一気読みの後、溜息が出ました。終わった。とにもかくにも終わった。30年越しの長い長い物語が完結した、そのことに感無量の思いと、一抹の寂しさ。

 面白かったです。

 ただ、展開が少し駆け足だったかな? テンポよく、と言えば聞こえはいいんだけど…欲を言えば、もう1冊くらいかけて、もっとじっくり書き込んでもよかったんではないかとね、ちょっと思いました。

 ただ、それを差し引いても十分に楽しめる内容でした。「皆殺しの田中」は今回も健在で、主要キャラが次々と逝ってしまうので、「大団円」とはいきませんが、絶望から時と世代を経て希望へと繋がるラストはよかったと思います。

 アルスラーン戦記、全16巻。

 間違いなく傑作です。この物語をずっと追いかけてきて本当によかったと思います。

 田中先生、30年間、お疲れ様でした!! 素晴らしい物語をありがとう!!

 未読の方は是非。今なら全巻収納BOXも売ってますよ

 

 

 

 

 

 

 

2016年6月21日 (火)

田中芳樹戦記

 ども、ケーンです。

 自己紹介のときにも書きましたが、私は小説を読むのが好きです。特に作家・田中芳樹氏の小説のファンです。

 田中芳樹作品に最初に出会ったのは、高校生の頃か、大学生の頃か。とにかく十代の終わり頃でした。友人に勧められて読んだのが「アップフェルラント物語」です。

Img_0251_2

 アップフェルラントというヨーロッパの架空の国を舞台にした冒険小説で、「天空の城ラピュタ」とか「ルパン三世 カリオストロの城」に通じる空気感を持った作品でした。この二つの映画が好きな人には、きっと楽しんでもらえると思います。

 次に読んだのは、図書館で見かけて興味を持ち、入手したコレ。

Img_0252

「風よ、万里を翔けよ」。古代中国を舞台にした歴史小説です。主人公は男装の麗人、花木蘭。彼女が病気の父に代わって少年兵として隋の煬帝の親征に従軍するところから物語は始まります。

 私は歴史小説というものをそれまで読んだことはなかったのですが、これを読んで「歴史小説ってこんなに面白いのか!」と驚きました。歴史という大きな流れの中で、登場人物たちの生き様が生き生きと描き出されていて、アップフェルラント以上に熱中して読んだことを覚えています。

 ちなみに花木蘭は中国の民話に登場する人物ですが(実在の人物かどうかはちょっと微妙)、後にディズニーが映画化しました。「ムーラン」というのがそれです。ムーランを田中芳樹氏が真似たのではありませんのでご注意を。

 なお、氏は後にもたくさんの中国歴史小説を発表していますが、私個人の中ではこの「風よ、万里を翔けよ」が第1位です。今は中公文庫から出版されていますので、興味を持った方には一読をオススメします。

 さて、その次に出会った田中芳樹作品は、これも友人に勧められて読んだものです。

Img_0253

「アルスラーン戦記」。最近コミック化&テレビアニメ化されたので聞き覚えのある方も多いと思います。現在は光文社カッパ・ノベルスから出版されていますが、最初は角川文庫から出版されました。第1巻は昭和61年に発表されたんですよ~。それが未だにシリーズが続いてるのだから、息の長い作品ですね。まあ、氏が驚異的な遅筆だというのも理由の一つではあるのですが、それでも人気があるからこそ続いているんですよね。

 この小説は「ヒロイック・スペクタクル・ロマン」とか「超絶ヒロイック・ファンタジー小説」と紹介されています。ファンタジー小説といえば日本では草分け的な存在として「ロードス島戦記」(著・水野良)がありますが、それとは趣が違います。より「歴史」の要素が強い、架空歴史小説とでも呼ぶべき作品です。そういう意味では、コミック化された時にCMで紹介された「歴史ファンタジー」というのがいちばん適切な表現かもしれませんね。

 架空の国パルスを舞台に、王太子アルスラーンが仲間たちと共に様々な苦難に立ち向かう…というストーリー。主人公アルスラーンの成長物語であると共に、彼に味方する、あるいは敵対する人々の生き様を魅力的に描いた作品です。これから田中芳樹作品に触れるという方には、いちばんにオススメしたい小説ですね。

 さて、先ほど架空歴史小説という言葉を使いました。これは私の造語ではなく、氏もインタビュー等の中でも語っています。「自分は架空歴史小説が書きたかったんだ」と。その契機となった小説がコレです。

Img_0254

 これについては今さら私が多くを語る必要はないかも知れません。氏の代表作であり出世作でもある「銀河英雄伝説」です。この作品はスペースオペラに分類されることもありますが、これもまた架空歴史小説といっていいと思います。

 銀河帝国と自由惑星同盟とに分かれた人類が争う時代。「常勝の天才」ラインハルトと、「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリー、二人の主人公を軸に、彼らと彼らを取り巻く綺羅星のような英雄たちの活躍が描かれる、壮大なる宇宙叙事詩。この作品で私はトドメを刺されました。「わたしの好きな作家」の第1位に田中芳樹氏が一気に躍り上ったんです。

 写真は徳間文庫版ですが、当時「銀英伝」はトクマノベルス(新書)から出版されていて、すでに完結していました。私は文庫から入ったものの、あまりの面白さに文庫が新書に追いつくのを待つことができず、すぐに書店に走って新書版を買い、続きを読んだという記憶があります。ちなみに文庫は文庫でちゃんと買い揃えました。現在は創元SF文庫から出版されています。

 こうして私は、田中芳樹作品のファンになり、氏の新作・旧作をほぼすべて読み漁り、今も氏が新作を出すのを楽しみに待っている、というわけです。その、待たされる期間がちょっとどころではなく長い、というのが悩ましいところなのですけどね(^_^;) ファンとしては、もう少し執筆のスピードを上げていただけるととても嬉しい。

 なお有名な話として、氏は執筆の予定をきちんと立てておくそうです。で、案の定というか、大抵は予定より遅れる。遅れるくらいなら予定なんか立てなければよさそうなものですが、氏曰く、

「予定を立てておかないと、予定より遅れていることがわからない」

だそうです。まあ、笑い話ですね。あはは…(-_-;)

 で、氏の最新作がコレ。

Img_0256

 待望のアルスラーン最新作。次の第16巻でアルスラーン戦記は完結を迎えるそうです。現在執筆中の一作を書き上げたら、いよいよその最終巻の執筆に入る予定とか。楽しみですね。もちろん私も第15巻は買いましたが、まだ読んでいません。現在、アルスラーン戦記を第1巻から読み直しているところです。ゆったりとしたペースで噛み締めるようにアルスラーンのこれまでの軌跡を振り返り、それから最新作を読んで、読み終わった頃にタイミングよく最終巻が刊行される…といいなあ、と思ってます。まあ、急いでつまらない結末を書かれても困るので、ここは期待しつつも腰を据えて待つとしましょう。

 今回は田中芳樹氏の小説をいくつか紹介しました。この記事を読んで氏の作品に興味を持ったという方は、そうですね、やはり現在進行形の「アルスラーン戦記」がオススメでしょうか。「銀河英雄伝説」は大作なので、読む側もある程度覚悟が必要です。アルスラーンでハマったという方は是非。それ以外だと、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズなんかもオススメですね。こちらは完全なエンターテインメントなので、割と気楽に読めます。

 中国物に手を出そうかという強者には、まず「風よ、万里を翔けよ」を。次は、そうですね、「奔流」か「蘭陵王」がいいかも。「紅塵」も傑作です。どれにしようか迷った時は、中公文庫から出ている「中国武将列伝(上)・(下)」を先に読むといいかも知れませんね。これは中国にはこんな魅力的な武将がいましたよ、と紹介していく本なので、一読して、興味を持った武将が出ている作品があったら、それを選ぶという使い方ができます。

 どうでしょう、あなたも田中芳樹氏の世界に触れてみませんか?

無料ブログはココログ