ケーンの映画感想文「レジェンド&バタフライ」
どうも、ケーンです。
2023年1発目の映画感想文はこちらになります。
「レジェンド&バタフライ」
(2023年、主演:木村拓哉、綾瀬はるか、監督:大友啓史)
ここで白状すると、本当に2023年1本目に観たのは「Dr.コトー診療所」でした。母が観たいと言ったので一緒に行ったのですが、朝イチの回だったのがたたり、ワタクシ、不覚にも爆睡してしまいましたw なので実質観ていません。母曰く「よかったよ」だそうです。
さて、話を戻しますと、「レジェンド&バタフライ」は、キムタクと綾瀬はるかという超人気俳優がそれぞれ織田信長とその正室である濃姫を演じた時代劇。レジェンド(伝説)=信長、バタフライ(蝶)=濃姫を指しているようです。監督の大友啓史は「るろうに剣心」シリーズで有名な方ですね。
織田信長といえば、日本人には人気の高い戦国武将ですよね。戦国時代の英雄と言えば、というような質問には必ず名前が挙がる人物です。ただ他方で比叡山焼き討ちなど、多くの人を殺した悪魔、と呼ぶ人もいます。
映画の公開前、あるTV番組で主演のキムタクに「信長は英雄か悪魔か」という質問をぶつけた子供がいました。それに対するキムタクの回答は、
「そのどちらの面も持っていたのが信長であり、人間である」
でした。それで私はこの映画に興味を持ちました。キムタクは多くの作品で色々なキャラクターを演じてきましたが、「ぜんぶ同じ。キムタクでしかない」と酷評されていたこともありました。もしかしたら今回も、キムタクが信長の格好をしてかっこつけてるだけの映画なのではないか、との懸念があったのですが、この回答で、キムタクが織田信長という人間と真摯に向き合ったという印象を受けたからです。
そしてその印象は、間違っていませんでした。
オススメ度は、★★★☆☆です。
正確には3.5点。ちょっと辛いのは私のワガママが入っているからで、決して観て損はありません。
キムタクは、英雄でも悪魔でもない、一人の人間としての織田信長を演じていました。作中で信長は若い頃は「うつけ者」であり、長じては戦に強くなり常勝不敗、天下を狙う中で史実通り比叡山を女子供もろとも焼き払うという残虐な行為をも行いました。そして、本能寺の変で命を落とす。
そんな激動の人生を歩んでいたのは、「人間」信長でした。人並みに子供っぽいところもあり、怒り、笑い、恐れ、泣く。印象的だったのが桶狭間の戦いの直前のシーン(だったと思います)。信長は今川の大軍を前に、平然とした顔をしつつも、手足が震えていました。彼にもまた、恐れることがあった。弱さがあったのです。
それを支えたのが綾瀬はるか演じる濃姫。彼女は気が強く、身体能力も高く、事あるごとに信長と衝突していましたが、要所要所で信長を鼓舞し、勝利へと導く。それは信長を利用して天下を取るという打算に基づいた行動でしたが、いつしか信長を愛していることに気づきます。しかしその時の信長は「我、人にあらず!!」と豪語するほど悪魔的な面が出ていた時期で、濃姫から遠い存在となってしまっていました(悪魔的になった裏にも、人間・信長の弱さがあったのですが)。濃姫は離縁を申し出、信長もそれを了承します。
そうして離れ離れとなった二人がどのような道を辿り、どのような結末を迎えるのか。
それは、ぜひご自身で劇場で確かめて下さい。
最後に一つ。
劇中、本能寺の変で信長は「是非に及ばず」という有名な言葉を言った後、もう一言呟きます。決して格好の良い台詞ではありませんが、信長を一人の人間として見た場合には「ああ、そうか」となる納得の台詞でした。
ああ、それから私のワガママ部分に触れていませんでしたね。
本作品は信長と濃姫の「人生」を描いた作品なので、合戦シーンはありません。派手な合戦を期待して観ると肩透かしを食らいます。
だからといってアクションがないかというとそうではなく、ほぼすべてを本能寺の変につぎ込んでいました。あそこは「るろうに剣心」を思わせる大友アクションの真骨頂だと思います。
ただワガママを言うなら、「桶狭間」「長篠」あたりの有名な合戦シーンは観たかった。もともとが3時間近い作品ですから、尺がないのは承知の上で。何なら二部作にしてもよかったと思います。
キムタク渾身の信長、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
それではまた。
ケーンでした。