ども、ケーンです。
自己紹介のときにも書きましたが、私は小説を読むのが好きです。特に作家・田中芳樹氏の小説のファンです。
田中芳樹作品に最初に出会ったのは、高校生の頃か、大学生の頃か。とにかく十代の終わり頃でした。友人に勧められて読んだのが「アップフェルラント物語」です。

アップフェルラントというヨーロッパの架空の国を舞台にした冒険小説で、「天空の城ラピュタ」とか「ルパン三世 カリオストロの城」に通じる空気感を持った作品でした。この二つの映画が好きな人には、きっと楽しんでもらえると思います。
次に読んだのは、図書館で見かけて興味を持ち、入手したコレ。

「風よ、万里を翔けよ」。古代中国を舞台にした歴史小説です。主人公は男装の麗人、花木蘭。彼女が病気の父に代わって少年兵として隋の煬帝の親征に従軍するところから物語は始まります。
私は歴史小説というものをそれまで読んだことはなかったのですが、これを読んで「歴史小説ってこんなに面白いのか!」と驚きました。歴史という大きな流れの中で、登場人物たちの生き様が生き生きと描き出されていて、アップフェルラント以上に熱中して読んだことを覚えています。
ちなみに花木蘭は中国の民話に登場する人物ですが(実在の人物かどうかはちょっと微妙)、後にディズニーが映画化しました。「ムーラン」というのがそれです。ムーランを田中芳樹氏が真似たのではありませんのでご注意を。
なお、氏は後にもたくさんの中国歴史小説を発表していますが、私個人の中ではこの「風よ、万里を翔けよ」が第1位です。今は中公文庫から出版されていますので、興味を持った方には一読をオススメします。
さて、その次に出会った田中芳樹作品は、これも友人に勧められて読んだものです。

「アルスラーン戦記」。最近コミック化&テレビアニメ化されたので聞き覚えのある方も多いと思います。現在は光文社カッパ・ノベルスから出版されていますが、最初は角川文庫から出版されました。第1巻は昭和61年に発表されたんですよ~。それが未だにシリーズが続いてるのだから、息の長い作品ですね。まあ、氏が驚異的な遅筆だというのも理由の一つではあるのですが、それでも人気があるからこそ続いているんですよね。
この小説は「ヒロイック・スペクタクル・ロマン」とか「超絶ヒロイック・ファンタジー小説」と紹介されています。ファンタジー小説といえば日本では草分け的な存在として「ロードス島戦記」(著・水野良)がありますが、それとは趣が違います。より「歴史」の要素が強い、架空歴史小説とでも呼ぶべき作品です。そういう意味では、コミック化された時にCMで紹介された「歴史ファンタジー」というのがいちばん適切な表現かもしれませんね。
架空の国パルスを舞台に、王太子アルスラーンが仲間たちと共に様々な苦難に立ち向かう…というストーリー。主人公アルスラーンの成長物語であると共に、彼に味方する、あるいは敵対する人々の生き様を魅力的に描いた作品です。これから田中芳樹作品に触れるという方には、いちばんにオススメしたい小説ですね。
さて、先ほど架空歴史小説という言葉を使いました。これは私の造語ではなく、氏もインタビュー等の中でも語っています。「自分は架空歴史小説が書きたかったんだ」と。その契機となった小説がコレです。

これについては今さら私が多くを語る必要はないかも知れません。氏の代表作であり出世作でもある「銀河英雄伝説」です。この作品はスペースオペラに分類されることもありますが、これもまた架空歴史小説といっていいと思います。
銀河帝国と自由惑星同盟とに分かれた人類が争う時代。「常勝の天才」ラインハルトと、「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリー、二人の主人公を軸に、彼らと彼らを取り巻く綺羅星のような英雄たちの活躍が描かれる、壮大なる宇宙叙事詩。この作品で私はトドメを刺されました。「わたしの好きな作家」の第1位に田中芳樹氏が一気に躍り上ったんです。
写真は徳間文庫版ですが、当時「銀英伝」はトクマノベルス(新書)から出版されていて、すでに完結していました。私は文庫から入ったものの、あまりの面白さに文庫が新書に追いつくのを待つことができず、すぐに書店に走って新書版を買い、続きを読んだという記憶があります。ちなみに文庫は文庫でちゃんと買い揃えました。現在は創元SF文庫から出版されています。
こうして私は、田中芳樹作品のファンになり、氏の新作・旧作をほぼすべて読み漁り、今も氏が新作を出すのを楽しみに待っている、というわけです。その、待たされる期間がちょっとどころではなく長い、というのが悩ましいところなのですけどね(^_^;) ファンとしては、もう少し執筆のスピードを上げていただけるととても嬉しい。
なお有名な話として、氏は執筆の予定をきちんと立てておくそうです。で、案の定というか、大抵は予定より遅れる。遅れるくらいなら予定なんか立てなければよさそうなものですが、氏曰く、
「予定を立てておかないと、予定より遅れていることがわからない」
だそうです。まあ、笑い話ですね。あはは…(-_-;)
で、氏の最新作がコレ。

待望のアルスラーン最新作。次の第16巻でアルスラーン戦記は完結を迎えるそうです。現在執筆中の一作を書き上げたら、いよいよその最終巻の執筆に入る予定とか。楽しみですね。もちろん私も第15巻は買いましたが、まだ読んでいません。現在、アルスラーン戦記を第1巻から読み直しているところです。ゆったりとしたペースで噛み締めるようにアルスラーンのこれまでの軌跡を振り返り、それから最新作を読んで、読み終わった頃にタイミングよく最終巻が刊行される…といいなあ、と思ってます。まあ、急いでつまらない結末を書かれても困るので、ここは期待しつつも腰を据えて待つとしましょう。
今回は田中芳樹氏の小説をいくつか紹介しました。この記事を読んで氏の作品に興味を持ったという方は、そうですね、やはり現在進行形の「アルスラーン戦記」がオススメでしょうか。「銀河英雄伝説」は大作なので、読む側もある程度覚悟が必要です。アルスラーンでハマったという方は是非。それ以外だと、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズなんかもオススメですね。こちらは完全なエンターテインメントなので、割と気楽に読めます。
中国物に手を出そうかという強者には、まず「風よ、万里を翔けよ」を。次は、そうですね、「奔流」か「蘭陵王」がいいかも。「紅塵」も傑作です。どれにしようか迷った時は、中公文庫から出ている「中国武将列伝(上)・(下)」を先に読むといいかも知れませんね。これは中国にはこんな魅力的な武将がいましたよ、と紹介していく本なので、一読して、興味を持った武将が出ている作品があったら、それを選ぶという使い方ができます。
どうでしょう、あなたも田中芳樹氏の世界に触れてみませんか?